2019年答弁記録

 

『誰ひとり取り残さない社会の実現』について


1. ダウン症児のための子育て手帳の採用

 

【大 石】


ダウン症児は、国内では毎年、約2,200人が出生すると推定される。
発達の速度が違うため、一般的な母子手帳と比較して、保護者は、わが子の遅れにあせりや落ち込み、孤立感によりひきこもりになるケースもある。


東海地方を中心に活動するダウン症児の親の会では、ダウン症の子を持つ先輩のママやパパの声を参考に、ダウン症児の特徴や育て方、療育方法等を具体的に紹介し、子どもの成長や病院の受診を記録できる子育て手帳「+Happyしあわせのたね」を、4年がかりで作成した。愛知県では、市区町村の保健センター等を通じ手帳を配布している。


こうした取り組みに、静岡県も加わることで、ダウン症のある子どもを育てる保護者の不安解消を図るとともに、全国の自治体に広がるきっかけになると期待するが、県の所見を伺う。

 

【健康福祉部長】


誰ひとり取り残さない社会の実現についてのうち、ダウン症児のための子育て手帳の採用についてお答えいたします。


県では、これまで、ダウン症児の保護者も参加する知的障害の親の会と連携しまして、障害のある方が、支援に必要な情報を保護者や支援機関が記載していく「相談支援ファイル」という冊子を作成し、普及に努めているところであります。


一方、「ダウン症児のための子育て手帳」につきましては、受診歴の要約とともに、寝返りやお座りなど、できたことを「はじめての記念日」として記録するほか、先輩ママのメッセージを載せるなど、ダウン症の子供を授かった保護者の方に子育ての第一歩を踏み出す勇気を与え、他人と比べることなく、御自身の子供を大切に育んでいっていただくためのものであります。


県といたしましては、それぞれに優れた点がありますことから、市町や親の会の協力を得ながらこれらを配布し、保護者の方々の御希望に応じて利用していただくことにより、子育てにおける不安の解消や生涯一貫した支援が行われるように努めてまいります。
以上であります。

 

【大石 再質問】


「ダウン症児のための子育て手帳」については、愛知県に続き岐阜県や三重県で今後配布していくようであり、これに本県が加われば、東海4県としての取組みとなる。


答弁では、手帳は採用するとのことだが、愛知県で行っているような、各家庭に訪問して、直接保護者の方に手渡しする方法はとれないのか。

 

【健康福祉部長】


ダウン症児のための子育て手帳の採用につきまして、再質問にお答えいたします。


手帳をお渡しする方法といたしましては、やはり、子育ての早い段階においてこの手帳が必要となりますことから、乳幼児期の子どもを持つ保護者が利用する市町の保健センター等を通しまして、配布していこうと考えております。


今、議員からお話がございましたように、家庭を訪問してということにつきましては、市町と相談しながら考えていきたいと考えております。
以上でございます。

 

 

 

令和元年12月25日(水)静岡新聞 掲載

 

県は来年4月から、ダウン症児の子育て手帳を市町の保健センターなどに配るとともに、職員がダウン症の子がいる家庭を訪問した際に渡すこととする。

2. 農業と福祉の連携

 

【大 石】


農業分野では、農業者の高齢化や新規就農者の減少により、人材不足が深刻な問題となっている。一方、障害のある方は働く意欲や能力があっても、なかなか就業先が見つからないという現状がある。

 

このような状況の中、今年4月に、国は省庁を横断した「農福連携等推進会議」を設置し、6月には「農福連携等推進ビジョン」を決定した。
障害のある方が農業分野で活躍することにより、就業機会が拡大し、農業者にとっては労働力の確保につながることが期待される。

 

このような状況を踏まえ、農業者と障害のある方とをつなぐ、農業と福祉の連携の推進が重要と考えられるが、今後どのように取り組みを推進していくのか伺う。

 

【農林水産担当部長】


誰ひとり取り残さない社会の実現についてのうち、農業と福祉の連携についてお答えいたします。


農業と福祉の連携は、両分野の課題解決に寄与できる重要な取組と認識しておりますが、現状では、農業経営体が障害のある方に働きやすい作業環境や作業内容を十分には提供できていないこともあり、県内全域に広がっていない状況にあります。


県は、これまで農業経営体等に対し、ユニバーサル園芸を啓発・普及する中で、障害者雇用に係る優良事例の発信や雇用方法等についての研修会を継続開催してまいりました。これより障害者雇用についての理解は進んできていると考えております。


平成29年度から、障害のある方の雇用を希望する農業経営体に専門家を派遣し、障害特性に応じた作業方法のアドバイスを行うなどの個別支援を開始しました。この取組により、県内の農業経営体で働く障害のある方は、平成28年度の113人から2年後の平成30年度は184人まで増加しております。


一方、平成30年度に国が実施した農福連携に係る実態調査によりますと、農業と福祉のお互いの分野に関する
知識・情報の不足やその知識を持った指導者の不足等が課題に挙げられており、これらに対する体制づくりも必要と考えております。


このため、県内に農業と福祉それぞれの情報を一元化する窓口を設置し、国が実施する研修などを活用し、農業と福祉の両方の知識を持って現場で指導できる専門家の育成に取組んでまいりたいと考えております。


県といたしましては、今後とも農業者と障害のある方のマッチングの強化と、両者の事情に精通した人材の育成に取り組み、きめ細やかな農福連携の支援に努めてまいります。
以上であります。

 

 

3. 更生保護活動に対する支援

 

【大 石】


私たちの地域社会の中には、犯罪をした人や非行歴のある少年が、罪を償って社会復帰を目指す際に、社会の中で必要な支援を受けられずに孤立し、立ち直れない状況の方々もいる。


このような方々への差別や偏見の感情を和らげ、立ち直りを助けていくための活動が更生保護である。県内には、保護司をはじめ、更生保護女性会やBBS会等の更生保護ボランティアの方々が、こうした啓発や支援などの地道な活動を担っているが、まだまだ県民には十分には知られていない。


また、検挙者に占める再犯者の割合は、高水準にあり、再犯防止が大きな課題となっている。


そこで、差別や偏見をなくし、犯罪や非行のない誰もが暮らしやすい社会の実現のため、更生保護の推進に向けた県の支援について伺う。

吉林副知事】


誰ひとり取り残さない社会の実現のうち、更生保護活動に対する支援についてお答えします。


罪を犯したり、非行に走った後に罪を償って出所した人や、その家族に対する差別や偏見は、現実として根強く残っております。保護司をはじめ、更生保護ボランティアの方々が担っている役割は、地域社会の安全や県民福祉の向上に寄与する非常に重要なものであると考えております。

 

こうした中、県では、毎年7月を強調月間として県内各地で展開される「社会を明るくする運動」のほか、更生保護に尽力された方々への顕彰等を行う更生保護大会などに対しまして支援をしております。
また、市町や関係団体と協力し、差別や偏見の解消に向けて、地域の人権啓発のリーダーとなる方々への研修を実施しております。


平成29年12月に、「再犯の防止等の推進に関する法律」に基づき、犯罪をした人の社会復帰に対しまして、就労や住居の確保、保健医療・福祉サービスの利用促進、学校等と連携した修学支援などを内容とする「再犯防止推進計画」が閣議決定をされました。


本県におきましても、再犯防止施策の推進により、犯罪や非行をした人が立ち直り、社会生活を営むことができますよう、県保護司会連合会や県更生保護女性連盟などを構成員とする静岡県再犯防止推進協議会を本年8月に立ち上げ、現在、年度内を目途に、再犯防止の推進計画の策定を進めております。


県といたしましては、今後も、国、市町、関係団体と連携し、ボランティアの方々による更生保護活動を積極的に支援することで、立ち直ろうとする人を地域全体で支え、誰ひとり取り残さない社会の実現を目指してまいります。

 

 

 

『安全・安心な暮らしの実現』について


1. 地域の自主的な防犯活動への支援

 

【大 石】


県は、従来、「地域の安全は地域で守る」という方針の下、地域で自主的に防犯活動を行う団体に対し、様々な支援を行ってきた。


本年5月に子どもが巻き込まれる痛ましい事件・事故を受け、県は、「子どもの安全確保緊急アクション」を策定し、県・市町・民間が「オール静岡」で取り組むことは承知しており、今後の具体的な取組による成果を大いに期待するものである。


県民の願いである安全・安心なくらしを実現するためには、地域の防犯力のさらなる向上への支援が不可欠である。
県では今後、地域の自主的な防犯活動に対してどのように支援していくのか伺う。

 

【くらし・環境部長】


安全・安心な暮らしの実現についてのうち、地域の自主的な防犯活動への支援についてお答えいたします。


地域の自主的な防犯活動への支援として、自主防犯活動の核となる「地区安全会議」の立ち上げ支援、空き巣対策や子供の安全対策などを実践いただくための「防犯まちづくり講座」の開催などを行ってまいりました。


本年5月に、子供が巻き込まれる重大な事件・事故が発生しましたことから、緊急対策として、「地区安全会議」に対し、新たに、青色回転灯や見守りに着用するビブスなどの防犯用品の提供を行っております。


現状、地区安全会議では、会員の高齢化等に伴い、自主的な防犯活動を行う人材不足や活動内容の固定化が課題となっております。このため、市町と連携し全県各地で開催する、子供の見守り活動に関する出前講座において、小中学生の保護者に地区安全会議への参加を呼び掛けるなど、人材の確保につなげてまいります。また、新たな犯罪手口をタイムリーに伝え、防犯活動の活性化を図るため、年間12回発行している「防犯まちづくりニュース」を24回に倍増いたします。


このほか、一部の大学生が小学生の下校時間帯に行っている学校周辺のパトロールや、警察が行う防犯活動への協力がより多くの大学生に拡がるよう働き掛けてまいります。


県といたしましては、安全・安心な暮らしの実現に向け、地区安全会議等が行う自主的な防犯活動への支援を強化し、官民協働による犯罪の起きにくい「美しい❝ふじのくに❞づくり」に取り組んでまいります。

 

 

 

2. 自転車の安全利用の促進

 

【大 石】


平成31年2月定例会において、「静岡県自転車の安全で適正な利用を促進に関する条例」が議決され、今年4月からすべての自転車を利用する者に対して、自転車関係法令を遵守し、歩行者、自転車等の通行に十分配慮した利用が義務付けられた。


令和元年10月までの年齢層別による自転車事故の件数の割合は、当事者として、高校生が26.1%、65歳以上の高齢者が18.7%と高く、合わせて約半数を占めており、とりわけ高齢者が当事者となった場合、死亡事故につながる可能性が高い。

自転車事故の件数を減らし、安全・安心な地域社会を実現するためには高齢者が当事者となる事故を減らしていく対策が重要である。


そこで、県は、高齢者の自転車の安全利用の促進にどのように取り組んでいくのか伺う。

 

【くらし・環境部長】


次に、自転車の安全利用の促進についてであります。


県では、市町や交通安全協会などと連携し高齢者を対象に自転車の安全運転講習や、自転車の交通ルール・マナーの周知などに取り組んでおります。


県が主催する講習におきまして、自転車乗車時の危険予測能力を高めるシミュレーター体験を実施しているほか、警察本部では、自動車の運転席から見て、自転車走行の危険性を理解していただく講習を実施しております。


ルール・マナーの周知につきましては、自転車の安全利用を啓発するチラシを33万部作成し、県老人クラブ連合会等に配布するとともに、先月には、同連合会が主催し約1,000人の高齢者が参加したイベントにおいて活用したところであります。今月は、テレビ番組を通じて、自転車条例で規定する高齢者のヘルメット着用を呼び掛けております。


県といたしましては、引き続き、関係機関と連携を強化し、高齢者の自転車安全利用の促進に取り組んでまいります。

 

3. 安間川上流部の治水対策について

 

【大 石】


近年、施設の能力を超える豪雨が頻発しており、台風19号では、全国各地で甚大な被害が発生した。県内においても、河川の氾濫等により、2,400棟を超える人家が浸水被害を受けるなど、大きな被害をもたらした。国では、気候変動を踏まえた治水計画のあり方について議論している。その中では、気温が2℃上昇すると降雨量は1.1倍になると試算され、気候変動により降雨量の増加を反映した治水対策に転換するよう提言がなされたと聞いている。


安間川流域では本年7月の豪雨により、上流部で道路や農地が湛水するなどの被害が発生しており、住民の危機感が増している。上流部まで河川改修が進むには気が遠くなるほど時間がかかることが想定されるため、住民として、一日も早く効果的な治水対策が講じられることを切に望んでいる。


そこで今後、頻発化・激甚化が見込まれる豪雨災害に対して、県は安間川の治水対策をどのように取り組んでいくのか伺う。

【交通基盤部長】


安間川上流部の治水対策についてお答えをいたします。


浜松市東部を流れる安間川では、おおむね10年に1度の大雨による洪水から床上浸水の被害を防止するため、東海道新幹線付近の安間川橋から上流側8.3km区間の河川改修と東名高速道路の南側における遊水地の整備を進めているところであります。


昨年5月から供用を開始しました、この遊水地は、これまでに7回洪水を貯留して、流域の浸水被害を軽減し、効果を発揮いたしました。一方、本年7月豪雨では、上流側において農地や道路などの浸水被害が発生したことも踏まえ、今後は、被害が発生した地域での防災・減災に有効な対策が必要であると認識をしております。


このため、下流から行っている河川改修の一層の促進を図るとともに、上流部に位置する既存の学校の校庭や公園等の空間を有効に活用した、貯留施設の整備などにつきまして、今年度から調査に着手したところであります。


県といたしましては、気候変動に伴う豪雨の頻発化・激甚化を想定し、浜松市や住民の皆様と連携した治水対策を着実に進め、流域の皆様が安心して暮らせる地域づくりに努めてまいります。
以上であります。

 

4. 文化財の適切な保存と活用について

 

【大 石】


過疎化・少子高齢化の進行による、文化財の滅失や散逸が全国的な課題となっており、国は本年4月の文化財保護法を改正し、文化財をまちづくりの核として、地域ぐるみで保存・活用していくという方針を示した。


これを受け、県では、今後の文化財の保存と活用の方向性を示す「静岡県文化財保存活用大綱」を本年度中に策定すると聞いている。


浜松市でも名勝に指定されている龍潭寺庭園や、新たに国史跡に指定されることになった光明山古墳などを地域が主体となり観光やまちづくりに活用して、地域の活性化につなげていくことは時代の要請であり、積極的に進めていくべきものである。


一方、文化財は経年劣化や老朽化等により適切な保存・管理には多額の費用が必要となる。また巨大化した台風によって川が氾濫したように、水害による文化財の破損も懸念され、それ以上に首里城の火災はショッキングな出来事であった。


文化財を地域資源としてこれまで以上に活用し、火災、地震等からの安全対策をはじめ適切な保存対策は不可欠である。


そこで、本県における文化財の保存や活用について、基本的にどのように考えているのか伺う。

【知 事】


大石哲司議員にお答えいたします。文化財の適切な保存と活用についてであります。


文化財は、我が国の様々な時代背景の中で、人々の生活や風土との関わりによって生み出され、現在まで守り伝えられてきた地域の宝であります。本県は、国宝久能山東照宮、国指定名勝龍潭寺(りょうたんじ)庭園、これについては議員もご指摘くださいましたが、このように、歴史的な建造物や美術工芸品、伝統ある民俗芸能など、有形、無形の多彩な文化財に満ち溢れた県であります。


もし、私、知事をしていなければ、今頃、龍潭寺で、禅の研究をしながら掃除に励んでいたと思います。今を去ること10年あまり前、突然知事候補者に名前があがりまして、家内から離婚を言い渡され、行く場所がなくなって龍潭寺の武藤さんに電話をいたしまして、離れを貸していただけないかということで即貸してあげるということでございました。それというのも学長をしていた時に屋根が傷んでおりましたので、その募金のご協力をしていたという縁があったわけでございます。先ほど積志小学校の縁も言われましたが、久能山東照宮の久能というのは宮司に聞きますれば、秦河勝のお孫さんの久能が縁で作られたお寺だということで、どこでどのような縁があるか分からないということであります。


現在、県では、文化財の専門家及び観光や地方創生等の有識者のご意見を伺いながら、文化財の今後の保存と活用の基本的な方向性を示す「静岡県文化財保存活用大綱」の策定を進めているところであります。


大綱では、基本理念に「美しい❝ふじのくに❞の文化財を県民総がかりで守り、誰もが親しみながら、未来へつなぐ」を掲げております。これまでのような所有者の努力に文化財の保存・継承を期待するだけではなく、今後は、地域が一丸となって、適切な活用を図りながら進めていくための仕組みを作ってまいりたいと考えております。


この理念の下、県が進める取組の基本方針を3つ掲げてまいります。1つ目は「文化財の確実な保存」であります。県内文化財のデータベースの構築等を進めて、経年劣化した文化財の計画的な修理・整備に取り組みます。2つ目は「文化財に携わる人材の育成」であります。市町との連携を強化し、地域で文化財を守り、活かす人材を育ててまいります。3つ目の柱は、「文化財の効果的な活用」であります。文化財を地域資源として、ICT等を活用した魅力的な情報発信などに取り組んでまいりたいと考えています。


また、大綱には「防災・災害発生時の対応」を位置付けます。今回の首里城のこともありますので、災害発生時の被害を最小限とするための「文化財防災マニュアル」を整備し、国や地元市町と協調し、所有者に対し耐震補強や消火設備の整備等を支援いたします。


県といたしましては、文化財の保存・活用に取り組む市町に対しまして地域計画策定の御支援を申し上げ、所有者、住民、観光事業者など地域が一体となって保存と活用を進める新しい仕組みづくりを進めてまいります。

 

5. 小学校における教科担当制の推進について

 

【大 石】


これまで、多くの小学校で一人の学級担任が、ほとんどの教科を指導する学級担任制を採用してきた。この学級担任制では、「一人一人の児童と深い関係が築ける」、「個々の子供の生活と学習を関連付けた指導が可能」など、多くの良さがある。


しかし、その一方で、「複数の教員の目で児童を捉えたり、チームで指導したりしていくことが難しい」、「教材研究の時間が確保できず、専門的な指導を行うことが難しい」、などの問題もある。


こうした問題を解決するための方法の一つとして、教科別に複数の教員で指導する教科担任制が有効であると考えられている。浜松市では、今年度、市立中郡小学校と市立積志小学校で、市教育委員会の指定により、高学年における教科担任制の研究が行われており、生徒指導面と学習指導面の両面から大きな成果をあげている。


また、本年度4月には、文部科学大臣から中央教育審議会に対して「新しい時代の初等中等教育の在り方」についての諮問がされ、現在審議されているが、この諮問の柱の一つが、小学校における「教科担任制の導入」となっている。


こうした状況を踏まえて、県教育委員会として小学校高学年における教科担任制の推進についてどのように考えているのかを伺う。

【教育長】


小学校における教科担任制の推進についてお答えいたします。


議員御指摘のとおり、教科担任制は、一人ひとりの子供に多くの教員が関わることで、多面的な児童理解を行うことができることや、教科の専門性を活かした授業を展開することができ、学力向上につながることなどが利点として挙げられております。


既に、県内の多くの小学校では、一部の教科を同じ教員が担当するなど、部分的な教科担任制を実施しており、平成30年度の文部科学省の調査では、政令市を除く県内の小学校高学年における教科担任制の実施校の割合は、理科、音楽、家庭科で5割を超える状況となっております。


しかしながら、全面的な教科担任制につきましては、教員の増員が必要となることに加え、小規模校での実施方策や各校の教育課程編成上の検討が必要でありますことから、一律に実施に向けて推進することは課題がみられます。


一方、議員御指摘のとおり、中央教育審議会におきまして「初等中等教育の在り方」の中で教科担任制の導入が審議されているほか、令和2年度の文部科学省の概算要求では、小学校の専科指導の教員2,000人余の増員が盛り込まれているところであります。


県教育委員会といたしましては、子供たちにとってより望ましい体制となることを最優先に考え、浜松市での研究成果や国の動向などを踏まえ、各市町教育委員会と情報共有を図りながら検討してまいります。