2017年答弁記録

 

1. 県税の収入率向上対策について

 

【大 石】

平成29年度当初予算における人件費や扶助費などの義務的経費は、歳出総額の50%を占めており、今後も子育て、高齢者等の支援に必要な社会保障関係費を中心に益々、義務的経費の増加が懸念される。
 
一方、歳入面では、県税収入が歳入の40%を占め、地方消費税の都道府県間の清算金収入を加えると50%を超える貴重な財源となっており、安定的に県税収入を確保し、歳出の増加に対応していくという観点から、また、税負担の公平性の観点からも、収入率の向上と収入未済額の縮減を図ることは、非常に重要なことであると考えている。
 
平成27年度末における地方税の滞納残高は、1兆2000億円を超えている。県税の収入率向上に向けた県のこれまでの取組とその成果、そして今後の方針について伺う。
 

 

【経営管理部長】
 
県では、滞納者に対する徴収対策の強化と、納税者の利便性向上などによる納期内納付率の向上の両面から、県税の収入率の向上に取り組んでまいりました。

まず、徴収対策の強化につきましては、県税の収入未済額の8割以上が、市町が賦課徴収する個人県民税でありますことから、県内全市町と連携して、差押えや公売を支援するなどの取組をすすめております。

 

また、平成17年度から、コンビニエンスストアでの収納を、平成26年度からは自動車税で、クレジットカードによる収納を導入致しました。
 
これらの取組により、平成28年度の個人県民税の収入率は、94.9%と、平成22年度に比べて6ポイント向上し、県税全体では、収入率が98.2%となり、過去最高の数値となっております
 
また、収入未済額は、平成28年度末で79億円となり、平成22年度の197億円から6割縮減いたしました。

 

今後の方針でありますが、地域の特性や市町の実情に応じた、きめ細かな対策を実施するとともに、県内8つの財務事務所において、各税目の数値目標とこれを達成するための取組をまとめて、徴収対策を更に強化してまいります。

これらによりまして、収入率の向上を更に図ってまいります。

 

2. 河川との共生について 
 
(1)天竜川ダム再編事業と流域環境
 

【大 石】 


現在、天竜川では国土交通省による『天竜川ダム再編事業』が行われている。

 

この事業は、発電専用の佐久間ダムに洪水を調節する治水機能を確保し、天竜川中下流部の洪水被害の軽減を目的としている。さらに洪水調節機能を維持するために、ダムの上流側に溜まった土砂を浚帯して、ダムからの放流水で河川に還元することも計画されており、海岸浸食に対しても効果を大いに期待している。

 

ところが、この天竜川ダム再編事業により、ダムが流す土砂の影響でアユの餌となるコケが生育しなくなるのではという心配の声も聞かれ、本事業の流域環境への影響についても、大いに関心を払う必要があると思っている。
 
そこで、国が実施する天竜川ダム再編事業による河川環境への影響に関して、県はどのように関わっていくのか、県の認識を伺う。
 
【交通基盤部長】 

 

国が実施する天竜川ダム再編事業では、佐久間ダムの恒久的な堆砂対策として、貯水池の浚渫土砂をダム直下へ運搬し、洪水時の放流水によって河口周辺まで還元することが計画されていることから、大量の土砂の流下による治水や河川環境への影響が課題であると認識されております。
 
県では、これまでも事業の進捗状況や地元関係者への説明状況等を確認してまいりましたが、今後は実験結果の公表や内水面魚協との継続的な意見交換の実施など、地域の声を聴きながら事業を進めるよう、国に働き掛けてまいります。
 
県といたしましては、天竜川下流部の治水対策だけでなく、遠州灘の海岸浸食の抑制に大きな効果が期待できるダム再編事業が、天竜川の豊かな環境に十分配慮し推進されるよう、国と連携して取り組んでまいります。
 
 

 
(2)馬込川中流域の治水対策について
 
【大 石】
 
近年、全国各地で風水害により多くの被害が発生している中、本県においても氾濫危険個所の緊急対策実施に向けた補正予算の確保について、わが会派ふじのくに県民クラブとして要望した。
 
本年6月の大雨の際には馬込川の水位観測所で、氾濫危険水位を上回ったということで、市内の広範囲にわたり避難勧告が出された。馬込川の水位上昇に伴い、染地川や貉川等からの流入が堰き止められ、水路が溢れ道路の冠水被害が発生しているため、地域住民からは、一刻も早い効果的な治水対策が求められている。
 
頻発する局地豪雨によって発生する浸水被害を軽減するためには、河川の適切な維持管理を県と市が連携して行うなど、流域全体で取組むことが必要な対策と考える。
 
県ではこの馬込川中流域での浸水被害の抑制を今後どのようにして進めていくのか所見を伺う。
 
 
【交通基盤部長】
 
馬込川の治水対策については、今年度、交付金事業により河口部から抜本的な改修に着手したところでありますが、改修が中流域に達するまでには、長い年月を要することから、現在の流下能力を十分に発揮させる適切な維持管理が重要であります。
 
馬込川は平常時も河口閉塞防止のための掃流用水が流れるため、土砂の著しい堆積は見られませんが、出水期前の定期的な巡視や出水後の点検を行い、維持工事等が必要な箇所を確認しており、先般染地川合流点周辺で確認された局所的な堆積土砂の撤去を予定しております。
 
今後も、支川への影響を考慮しながら、堆積土砂の撤去や局所的な掘削による流下能力の維持、向上を図ってまいります。流域に数多く設置されている雨水貯留池等の機能の維持や強化、及び支川における局所的な浸水被害の原因分析と対策などについて、これまで県内各地で効果を上げてきた総合的な治水対策の手法を活用しながら、浜松市とともに取り組んでまいります。
 
県といたしましては、局地的豪雨等の頻発に対して、馬込川の抜本的改修を着実に進めるとともに、浸水被害が発生している箇所への効果的な対策が早急に実施できるよう、浜松市と一層連携し、流域の皆様が安全で安心して暮らせる水害に強い地域づくりを推進してまいります。

 

【大 石】(再質問)

 
馬込川の治水対策です。
 
県と市が連携してやっていただけるという話ですが、すごい素晴らしい言葉で、「総合的な治水対策」という夢のような言葉に聞こえるが、この総合的な治水対策の例示を2、3あげて説明してほしい。

 

【答交通基盤部長】(答弁)
 
県下で一番有名なのは、静岡市を流れます巴川の総合治水対策でございますが、これは遊水地や放水路など、河川整備だけではなくて、学校の校庭や、公園などに雨水貯留施設をつくる、あるいは家の軒下に各戸貯留をするなど河川だけではなく、流域全体で雨水を受け持って河川に流れ出る水の量を減らしていく取組みを、総合的な治水対策と呼んでおります。
 
このような取り組みは、各地で行われており、馬込川では、昭和の時代から特に浜松市のエリアで、学校、ため池を利用した雨水貯留池等が整備されておりますので、それらの機能を改善し、治水対策に生かしていくことを、今後、浜松市と連携して進めていきたいと考えております。
 
 
3. 東京2020オリンピック・パラリンピック文化プログラムの推進について
 
【大 石】
 
文化プログラムについては、知事が積極的な姿勢をお持ちであり、本県として推進に取り組んでいると思うが、多くの県民は、オリンピックがスポーツの祭典であると同時に文化の祭典でもあることは知らないと思う。
 
文化プログラムの展開には、その周知を図り、担い手あるいは鑑賞者として多くの県民に参画してもらうことが必要である。
 
文化プログラムの展開が、本県の魅力を国内外に発信する契機となることを期待している。
 
文化プログラムは、東京オリンピックを視野に入れるのは当然であるが、他のイベントをも連携して、本県の情報発信の一役を担い、多くの方が本県を訪れるきっかけとなってもらいたい。
 
文化プログラムの推進について、今後どのような展開を図っていくのか伺う。
 
 
 【知 事】
 
東京2020オリンピック・パラリンピック文化プログラムは、その推進を通じて形成される文化・芸術と様々な分野とのネットワークや交流が地域の文化力として定着し、感性豊かな地域社会の実現に寄与していくことが期待されるものであります。
 
そのため、本県では、昨年5月に他県に先駆けまして、市町、文化団体、観光協会、産業界、教育界、福祉従事者などオール静岡の体制による文化プログラム推進委員会を設立しいたしました

 

テーマは「地域とアートが共鳴する」というものであります。このテーマのもとに、県内各地で様々な文化資源を活かしたプログラムが展開されるように取り組んでいるところであります。

 
本県の文化プログラムの特徴は、多くの方の参加と協力を得て、本県らしい多彩な事業を重層的に展開する点にあります。
 
具体的には、プログラム全体の中で中核をなす、推進委員会と文化・芸術団体等が連携して実施する「共創プログラム」を走らせております。

 

また、県内の各団体から地域に根ざした文化振興の取り組みを募る「提案プログラム」も走らせております。

 

さらに、県立美術館の企画展、SPACによる舞台公演など既存の県事業や、市町独自のプログラムを加えた展開も考えております。

あるいは、グランシップは静岡県の文化力の拠点の一つでありますけれども、様々な自主事業を展開されております。その中でも、この夏に10回目を迎えました「音楽の広場」は、満員の観客を感動の渦に巻き込みました。

 

こうした自主事業も、文化プログラムと連携をすることを通しまして、県内外の方々に静岡県の文化力の拠点の地域についての魅力も発信していくということも入っております。
 
文化プログラムの周知に関しましては、その一環としてより多くの県民の皆様の関心を呼び込むため、10月29日に、国の重要文化財に指定されております掛川市の大日本報徳社大講堂におきまして、前文化庁長官の青柳正規先生をお迎えし、東京オリンピック・パラリンピック1000日前フォーラムを開催いたします。
 
今後も引き続き、観光や産業などの他分野の協力を得て、市町と連携を図りながら、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、国内外から、多くの方々が静岡県を訪れていただくきっかけとなるように努めてまいります。
 
オリンピック・パラリンピック終了後におきましても、文化プログラムの展開で培った文化・芸術振興の支援に関わる仕組みや人材、地域のネットワーク等のオリンピックのレガシーが、本県の目指す、いつでもどこでも多彩で魅力的な文化の花が咲き、国内外から憧れを呼ぶ「ふじのくに芸術回廊」あるいは「回遊式庭園」の実現に資するように、取り組んでまいります。

4. 健康長寿日本一に向けた取り組みについて

 
 大 石】
 
厚生労働省の発表の平成27年度の健康寿命日本一は山梨県で、静岡県は2位である。
 
テレビ番組で、山梨県の健康長寿の理由として、①「魚」中心の食生活、②食事時間が日本一長い、③平均日照時間が日本一長いことを上げていたが、食事時間の長さを除けば、本県も大差ないものと言える。
 
本県は、脳血管疾患による死亡率が全国に比べて高い。地域分析では東部・伊豆地域が多いが、要因は、伊豆地域は干物や漬物、東部地域は揚げ物や総菜パンなど塩分の高い食事を好むなど、食生活の地域性にあるのではないかと言われている。
 
脳梗塞の原因のひとつである動脈硬化は、高血圧や脳梗塞など、深刻な病気を引き起こし、再発の恐れや重大な後遺症が残るケースも多くみられるが、運動や食生活などの生活習慣を改善することで、「健康な血液」に変えていくことができる。
 
県民が食生活の改善を自ら進んで実行し、健康長寿日本一の座を取り戻すことができるよう、食育の大切さを啓発していくことが重要と考えるが、県の所見を伺う。
 
 【健康福祉部長】
 
健康寿命の延伸には、運動、食生活、社会参加の3要素が重要であります。特に、食は、生きていく上での基本であり、全ての年代の県民一人ひとりが、適切に食事をとることが重要であります。
 
県では、生涯にわたり、健康でいきいきと生活できるように、幼少期から食についての正しい知識を身に付け、健全な食生活を実践する食育に力を入れております。幼時から中学生までを対象に、静岡県健康づくり食生活推進協議会の協力を得て食育教室を開催し、減塩や野菜の摂取の大切さを伝えるなど、子供の頃から、食育の取組を始めているところでございます。
 
また、全国に比べて脳血管疾患による死亡が多いという本県の健康課題につきましては、働き盛り世代などを対象にして、適正な塩分摂取を進めるため、5年間で5パーセントの減塩を目指す「減塩55プログラム」を展開しております。
 
今年度からは、健康経営の視点を取り入れた「しずおか“まるごと”健康経営プロジェクト」を開始し、普段の食生活の中で、食生活の見直しや健康づくりに取り組むことの大切さなどを直接県民の皆様に伝える「健幸アンバサダー」の養成や、社員食堂におけるヘルシーメニューを提供する支援など、働き盛り世代に対する取組を強化し、全県において、地域、事業所、家庭における食を通じての様々な健康づくりを推進しております。
 
今後は、日本一の食材数439品目を誇り、食生活が豊かである本県の特性を活かし、全ての年代の県民の皆様に対し、自らが進んで食生活の改善を実行していただけるように、食育の大切さを啓発することで、健康寿命日本一を目指してまいります。

5. 交通ネットワークを活かした観光振興について

 
 【大 石】
 
静岡県は、古くから道路や鉄道の交通ネットワークが形成され、近年は、高規格道路が開通したことで、交通アクセスがさらに向上した。
 
「国際旅客船拠点形成港湾」に指定された清水港では、今後クルーズ客船会社と連携して、旅客ターミナルの整備を進める計画と聞いている。富士山静岡空港も、訪日誘客支援空港に認定されたことで、今後、国の支援を受けながら、訪日客誘致の拡大に取り組んでいくと聞いている。
 
このように本県の陸・海・空の交通インフラの環境が整いつつあることに加え、世界規模のスポーツイベントの本県開催が控えている。また、世界遺産富士山をはじめとする多彩な観光資源を有している。
 
そこで、交通事業者等の民間企業とも連携し、交通ネットワークと多彩な観光資源を活かした観光振興のための取組が必要と考えるが、県の所感を伺う。
 
 【難波副知事】
 
県では、今後の観光施策を、従来の観光事業者を中心とした「観光地づくり」から、地域ぐるみ、社会総がかりによる「観光地域づくり」に転換しました。
 
観光振興による地域活性化においては、訪問旅行者数の多さに加え、その質が重要です。地域の魅力を高め、少しでも長く、何度も滞在していただく。そして、地域の文化や地元の食を楽しんでいただく。このことにより、域内でお金を回し、経済波及効果を高めることが重要です。これを進めることが、まさに「観光地域づくり」と言えます。
 
このため、県全体のDMOや、地域のDMOを核として、地域の魅力ある観光素材を発掘し磨き上げ、訪れた人に満足いただける滞在メニューを提供し、地域の稼ぐ力を引き出す、そういう取り組みを進めてまいります。
 
また、本県の強みは、議員御指摘のとおり、多彩で魅力ある観光資源とともに、交通ネットワークの充実です。古くから道路や鉄道が発達し、近年は、高規格道路網がますます充実し、さらに、全国の地方管理空港の中で入国・出国外国人数が最も多い富士山静岡空港、国際旅客船拠点形成港湾に指定された清水港を有します。
 
この交通ネットワークを活用した新たな取り組みが求められます。例えば、国際クルーズの拠点になりますと飛行機で来て、クルーズ船に乗り換えるという、フライアンドクルーズも期待できます。また、走りやすい道路網を活用したレンタカー利用の個人旅行も大きな伸びしろがあります。
 
このように、マーケット分析に基づく取組みにより、旺盛なインバウンド需要を取り込みながら、国内外から訪れる観光客に、長く、何度も滞在していただけるように、本県の強みである地域資源と陸・海・空の交通ネットワークを活用し、交通事業者も含め社会総がかりで、観光振興を進めてまいります。
 
※DMO:自然や食、風習・風俗など地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域作りを行う法人をいう。Destination Management Companyの略。

6. IoTを活用した農業用水の遠隔管理について

 
 【大 石】
 
最近は、あらゆるモノがインターネットにつながるIoTや人工知能(AI)等を活用した取組が進められている。
 
農業を取り巻く厳しい環境の中で、農業を魅力ある産業として発展させ、担い手がその意欲と能力を存分に発揮できる環境を創出していくためには、営農技術の情報化や省力化などの視点から、農作業の革新を図っていくことが重要である。
 
最近、県と大手IT企業等が連携し、水田の水量などを遠隔で管理するシステムの研究開発を開始したとの新聞報道がなされた。稲作農家にとって、こうした技術が導入されれば、水管理労力を大幅に効率化することができ、農業に係る生産コストも大きく削減できるものと期待しており、実現化に大きな期待を寄せている。
 
そこで、このIoTを活用した農業用水の遠隔管理技術の導入拡大に向けて、県として、今後、どのように取り組んで行くのか伺う。
 
 【交通基盤部長】
 
農業者人口が減少する中、地域農業を支える多様な担い手が、将来にわたって、力強い農業を持続的に展開するためには、ほ場を大規模化する区画整理等に加えて、水管理を省力化する最先端の情報通信技術の導入により、大胆な生産コストの削減を図ることが重要であります。
 
本年3月に、県や国の研究機関、民間IT企業等で設立したコンソーシアムが、国の新規事業の採択を受けて、今年度は、ほ場への用水供給を遠隔で制御するシステムの研究開発に取り組んでおり、来年度からは、袋井市等のほ場で実証実験を行うことにより、操作性に優れたシステムの実用化を進めてまいります。
 
また、本事業の成果を踏まえ、開発された遠隔制御システムについて、区画整理等が実施されたほ場への導入拡大を図ることにより、担い手の需要に対応したきめ細かな用水供給を実現してまいります。
 
県といたしましては、営農の省力化や収益性の向上を図る基盤整備と併せて、IoTの活用を推進することにより、多様な営農形態に応じた経営戦略の実現を促進し、本県農業の競争力を強化してまいります。

7. 指定管理者制度導入に対する今後の取り組みについて
 
 【大 石】
 
指定管理者制度が創設されてから、15年近くが経過した。従来の業務委託に比べて、民間事業者等の創意工夫が発揮されやすく、利用者に対するサービスの向上が図られ、施設管理に要する経費の削減も期待できる。
 
静岡県でも制度の導入が進められ、現在、文化・教育施設、スポーツ施設など44施設が、指定管理者制度により管理運営がなされている。
 
平成27年に、総務省が実施した調査結果によると、本県の導入率は18.0%で、47都道府県の中で、下から4番目の43位と他の都道府県に比べて、著しく低い導入実態である。厳しい財政状況の中でも、公の施設は質の高いサービスの提供を求められますので、静岡県においても、本制度導入を積極的に検討すべきではないかと考えている。
 
これまでの指定管理者制度導入に対する評価と、今後の導入率向上に向けた取組について、県の所見を伺う。
 
 
【経営管理部長】
 
本県では、公の施設の管理運営に当たりましては、サービス水準や利用者の利便性など、県民サービスの向上という観点から、最も適切な管理形態を選択するよう努めており、民間活力の活用は、その有効な手段であると考えております。特に、指定管理者制度の導入に当たりましては、利用日時の拡大や企画催事の充実、利用料金の見直しなど、民間事業者の優れた提案を取り入れた施設運営に取り組んでまいりました。
 
導入施設の利用者は、指定管理者制度を導入し始めた平成17年度の年間430万人から、平成28年度は766万人と約1.8倍に増加し、利用者満足度も高い水準で推移しております。また、制度導入前と比較して、平成29年度当初予算ベースで9億余の経費削減効果が得られるなど、利用者サービスの向上と効率的な運営の両立が図られているものと考えております。
 
なお、242の公の施設のうち、142を占める公営住宅につきましては、指定管理者制度では対応できない、入居・退去の決定などを行うことができる管理代行制度を導入し、利用者にとって、より利便性が高いワンストップサービスを提供しております。本制度を含めますと、民間による管理運営制度の活用は76.9%と、全国でも非常に高い導入率となっております。 
 
また、県の直営がふさわしいと判断した施設におきましても、現状の管理形態を固定的に考えることなく、毎年度、最適な運営手法を検討しております。本議会で浜松学園への指定管理者制度導入に向けた条例改正をお諮りしているほか、県教育委員会所管の青少年教育施設におきましても、現在、運営手法の検討をおこなっているところであります。
 
今後とも、民間事業者の創意工夫の発揮により、利用者満足度の向上と効率的な運営が見込まれる施設には、指定管理者制度の積極的な導入を検討してまいります。