2016年答弁記録

 

1. 地方創生の推進について 

 

【大 石 】

 

国は一昨年、人口減少の克服や東京一極集中の是正を目指す政策として「地方創生」を打ち出した。

 

しかしながら、政府関係機関の地方移転については、掛け声倒れの感が否めず、各自治体が寄せた大きな期待には程遠い結果であったと感じている。
 
地方創生に対する国の動きを見ると、地方の本気度を真剣に受け止めているのかどうか疑問を抱かざるを得ない部分がある。県はこれをどう受け止め、“ふじのくに”の地方創生をどのように進めていこうと考えているのか所見を伺う。
 
【知 事 】

 

議員御指摘のとおり、地方発展の新たな基盤づくりとなるはずであった政府関係機関の地方移転は、期待からは程遠い結果となりました。
 
真の地方創生の実現に向けまして、国の施策に左右されることなく理想を掲げ、県独自の取組を進めていく主体的な取組が試されていると認識しております。
 
新しい国づくり、地方創生の先導役を担うという気既と日本に対する使命感をもって、人々が心の豊かさを感じ、多様な暮らし方を選択でき、幸せを享受できる地域づくりを進めることにより、国土統合の象徴である「富士山」に恥じないような地域づくりを進めてまいりたい。
 

 

2. 県産品のマーケテイング戦略について

 

大 石】
 
本県の食材は、品質日本一であると自負している。
 
県は、本年度、新たに市場と生産が結びついた独自のマーケテイング戦略を取りまとめると承知しているが、戦略本部会議でどのような意見が出され、今後、どのように戦略を取りまとめていくのか伺う。
 
【知 事】
 
本県は、多彩で高品質な、正に芸術品ともいえる本県産農林水産物のブランド力を高め、国内外へ販路拡大を図るための取組を進めております。
 
本県に強みがあるお茶、柑橘類、しらす、木材等主要9品目を対象に、和食ブームが進む海外、恵まれた交通インフラを活かした国内、地産地消の県内の三つの市場に分けて具体的な取組を検討することとしております。
 
マーケットインの発想に基づきまして、県産品の販路拡大を進める新たな体制の整備や、先行事例である沖縄県、福岡県等の取組を調査する費用について本回の9月補正予算として本会議にお諮りしているところであります。
 
農林水産業の成長産業化に向けまして、攻めの姿勢により、来年2月を目途に、具体的で実効性の高い他県にない戦略取りまとめ、公表し、全国をリードする取組を進めてまいります。

 

 

 

 

3. 航空関連産業の振興について

 

【大 石】

 
昨年11月に川勝知事がブラジルを訪問し、航空機の製造メーカーであるエンブラエル社と、ブラジル航空技術大学(ITA)と静岡県内の大学との交流の端緒を開き、先月、ITAと県内2大学との協定締結が実現したところであり、今後、その成果の活用を大いに期待している。
 
県独自の支援策を積極的に行っていく必要があると考えるが、今後どのように施策を展開していくのか。
 
【知 事】
 
県内の金属加工、工作機メーカーなどが結成した「SOLAE」(ソラエ)の会員企業を対象として、展示会出展や国際認証の取得に関する支援、大手メーカーからの航空機部品の受注活動等に対する支援を行ってまいりました。
 
本年度は、県内企業が受注拡大のために行う、機械設備の導入や高度な人材育成に対する助成制度を創設したところでございます。
 
県内企業と国内外の航空関連メーカーとのビジネス機会の拡大に取り組んでいくとともに、そこにエンブラエル社が入ってくることが望ましいと考えまして、ITAと静岡理工科大学、東海大学との人的交流を支援いたしまして、エンブラエル社との連携を深めることで、静岡型の航空関連産業の振興に努めてまいりたいと考えております。

 

 

 

 

4. アウトドアスポーツを活用した観光振興について

 

【大 石】
 
本県は、海、山、温泉などバラエティに富んだ地域資源が多数あり、アウトドアスポーツ系の体験プログラムなど県内各地域で構築すれば滞在促進にもつながると考える。
 
アウトドアスポーツを活用した観光振興について伺う。
 
【難波副知事】
 
県では、東京オリンピック・パラリンピックの自転車競技開催を契機として「サイクルスポーツの聖地」づくりを進めていくこととしており、関係者と連携したサイクル環境の整備を行っております。議員が御紹介されたように、近年の自然志向・健康志向の高まりを捉え、アウトドアスポーツを核とした誘客施策を展開することで、アウトドアツーリズムを促進してまいります。
 
 
5. 教職員住宅の今後のあり方 
                  
【大 石】
 
老朽化の進行等により、入居需要が減少している。管理計画を着実に推進し、地区拠点住宅への集約を図り、教職員住宅の解体計画の進捗状況を伺うとともに、管理の集中化についての所見を教育長に伺う。
 
【教育長】
 
平成27年度までの5年間の計画では、実績では231戸を解体いたしました。今後も条件が整った住宅から前倒しで解体・廃止するなど、随時見直してまいります。
 
管理の集中化につきましては、地区のとりまとめ校が建築基準法で定める点検業務を一括契約するなど、一部で実施しており、業務や経費の軽減に効果を上げています。
 
今後は、地区に拠点校を定め、段階的に管理を集中化するなど、より効果的、効率的な運用に取り組んでまいります。
 
【大 石】
 
売却までの間、どのように管理していくのか伺う。
 
【教育長】
 
売却が完了するまでは県有財産であることに変わりはありませんので、定期的な巡回をするなど、適切にかつ積極的に管理してまいります。
 
 
6. 子供の貧困対策の推進について

 

【大 石】

 

平成28年3月に「静岡県子どもの貧困対策計画」を策定し、施策の柱として「教育の支援」を掲げ、成長段階に即したきめ細かな学習指導、機会の提供に取り組むとしているが、貧困の連鎖を断ち切るうえで、「教育支援」についてどのように取り組んでいるのか伺う。
 
【健康福祉部長】
 
県では、「静岡県子どもの貧困対策計画」において、「教育の支援」を主要な施策に掲げ、学習の場の提供や教育にかかる経済的負担の軽減などを行っております。
 
学習の場の提供といたしましては、従来の通所型の教室に加え、今年度より合宿型の教室を夏休みに実施し、子供たちの学習意欲や自立心の向上を図りました。
 
生活困窮などの問題を抱える児童生徒を早期に発見し、対処するスクールソーシャルワーカーを今年度から全市町に配置し、児童生徒が安心して日常の学習に取り組めるようにしております。
 
また、児童養護施設や里親の元で生活している子供に対しましては、意欲と能力があれば、大学等に進学できる本県独自の支援制度を創設するなど、経済的な不安をなくし、全ての子供が修学を継続できるようにいたしました。
 
未来に夢と希望をもって成長し、自立していくことができる「教育の支援」に取り組んでまいります。
 
以上であります。